在留資格とは
在留資格とは、外国籍の方が日本で活動するために必要な資格のことです。
日本滞在のための免許のようなものですね。
つまり、在留資格がなければ、外国籍の方は日本にいることができなくなるということになります。
かくいう私も外国籍ですので、在留資格は命の次に大切なものであると身に染みて感じております。
在留資格についての基本事項は以下の通りです。
● 1人につき1つの在留資格が必要である。
● 在留資格は大きく分けて3つに分類できる
● 在留資格には基本的に有効期間がある。
● 在留資格は、入管(出入国在留管理庁)に許可をもらうことで取得することができる。
● 在留資格は、要件を満たせば、途中で変更することができる。
● 在留資格をもっていなければ犯罪となる。
● 在留資格とVISAは、正確にいうと別のものである。
それぞれの事項について詳しく解説していきましょう。
在留資格は1人につき1つある
在留資格は1人につき1つ必要になります。
在留資格は現在のところ以下の表のように29種類あります。
※出入国在留管理庁HPより
それぞれの在留資格に取得の要件があり、申請者の方の実情によって、どの在留資格が取得可能か、どの在留資格が最適か、といった判断が必要になってきます。
在留資格は3つに分類できる
在留資格は、以下の通り、大きく分けて3つに分類することができます。
@ 許可された在留資格の範囲内で仕事できるもの
A どんな仕事にもつけるもの
B 仕事ができないもの
それぞれについて解説していきます。
@ 許可された在留資格の範囲内で仕事できるもの
いわゆる就労系ビザや就労資格とよばれる在留資格です。
現在のところ、19種類の就労系ビザがあります。
代表的なところでいうと、
● 技術・人文・国際業務
● 企業内転勤
● 経営・管理
● 技能
● 高度専門職
● 特定技能
などのビザが多くの場合に取得されております。
A どんな仕事にもつけるもの
身分系ビザや居住資格とよばれる在留資格です。
現在のところ4種類あります。表のとおり、
● 永住者
● 日本人の配偶者等
● 永住者の配偶者等
● 定住者
です。
身分系ビザはその他の資格と比べて就労制限がありません。
また、就労が許されている在留資格でも単純労働が許されているものは業種が固定されていたり、一部許されていても単純労働のみでは許されていなかったりして制約がありますが、身分系ビザでは、飲食店におけるホールスタッフや工場のライン、タクシードライバーなど、単純労働とみなされる労働でも自由に就くことができます。
B 仕事ができないもの
留学ビザや家族滞在ビザ、観光ビザとも呼ばれる短期滞在ビザでは就労が認められておりません。
ただし、留学ビザや家族滞在ビザ、文化活動などのビザでは資格外活動許可を得ることによって、アルバイトでの就労が可能です。
アルバイトでの就労というのは、原則週28時間までの労働のことを指します。
在留資格には在留期間がある
在留資格には永住を除いて在留期間が定められております。
在留期間とは、在留資格の有効期限のようなで、資格の更新申請をしないままその期間が過ぎてしまうとオーバーステイとなり、最悪の場合、退去強制の対象となってしまいます。
在留期間には、3か月・4か月・6か月・1年・3年・5年など様々です。
技術・人文・国際業務のように、最初の申請で3年や5年の在留期間がもらえる可能性のある在留資格もあれば、
経営・管理や特定活動46号のように最初の申請では最長でも1年の在留期間しか出ないものもあります。
最初の申請で1年の在留期間がもらえたら、その1年間をしっかり誠実に在留資格に定められた通り生活すれば、更新申請の際に、3年や5年の在留期間が付与されるという流れになります。
ただし、在留資格取得後は、誠実に生活をしているけれど、過去の素行に不良がある場合は、更新時になかなか希望通りの在留期間を認めてもらえないケースもあります。
また、永住の在留資格が認められれば、在留期間に制限がなくなりますので、更新申請が不要になります。
このことから、永住許可は、多くの在留資格取得者にとっての最終目標としてとらえられております。
※永住者であっても在留カードの有効期間があるので、在留カードの更新手続きはしなくてはなりません。
入管(出入国在留管理庁)に許可をもらって在留資格を取得する
在留資格を取得するためには、出入国在留管理庁(入管)(正確に言うと、地方出入国在留管理局)に必要書類を提出し、審査を経て、許可をもらう必要があります。
出入国在留管理庁(入管)は、以前の名称通り、入国管理局と呼ばれることもあります。
在留資格ごとに、要件が定められておりますので、その要件をクリアしていることを立証するための証拠となる書類を収集し、必要書類を作成しなければなりません。
※短期滞在の在留資格だけは出入国在留管理庁への申請ではありません。
※詳しくは短期滞在ビザの記事をご覧ください。
在留資格の申請の際には、以下のポイントに注意をして、申請書類を作成したり、必要書類を集めていきます。
@ 在留資格該当性
A 上陸許可基準適合性
B 許可相当性
在留資格該当性
在留資格該当性(以下、「該当性」という。)とは、外国人が申請した在留資格が、その外国人が日本で行う活動と合致しているかという判断基準です。
入管法第7条第1項第二号に規定されております。
先ほどみた29種の在留資格には、それぞれ日本で許される活動が定められております。
例えば、日本のレストランで調理師として働こうとしている外国人が、申請する在留資格は、「技能」です。
もしくは、身分系の在留資格をお持ちの方は、どのような就労をするかについて制限がありませんから、調理師として働くこともできます。
しかし、調理師として働こうとしている外国人が、技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請しても許可は下りませんし、すでに技術・人文知識・国際業務の在留資格を持っている人が、調理師として働いてしまった場合、資格外活動禁止違反となってしまうわけです。
上陸許可基準適合性
上陸許可基準適合性(以下、「適合性」という。)とは、先ほどの入管法第7条第1項第二号の基準を定めた法務省令(※)に適合するかどうかということが問われるということです。
※正式名称:「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第二号の基準を定める省令」=「基準省令」
この適合性は、すべての在留資格において必要とされるわけではありません。
別表1の2の表及び別表1の4の表に記載されている在留資格が対象となります。
具体的には、先ほどあげた一覧表のうちの、以下の通り表示をした部分になります。
例えば、先ほど例にあげた「技能」の在留資格の適合性については、様々列挙されておりますが、「当該技能について十年以上の実務経験を有する者」という記載があります。
申請の際には、10年以上の実務経験があることを具体的に立証していく必要がありますが、6年ほどの実務経験しかない場合は、実務経験においては基準適合性がないと判断されてしまうというわけです。
許可相当性
許可相当性(以下、「相当性」という。)とは、在留資格を許可するに足りる相当の理由があるかどうかという判断基準のことです。
許可相当性は、以下の通り4つに分類できます。
@ 安定性
A 継続性
B 必要性
C 信憑性
それぞれの項目の具体例を以下に記載しておきます。
【安定性】
・雇用条件や労働条件が適正であること
・十分に技術を有していること
・十分な出席率や成績であること
など
【継続性】
・独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
・事業の業績が十分であること
・納税の実績が適切にあること
など
【必要性】
・素行が不良でないこと
・日本社会や受入先の機関にとって必要な人材であること
など
【信憑性】
・入管法に定める届出等の義務を履行していること
・提出書類記載事項に虚偽がないことあるいは疑いを挟む余地がないこと
・過去の申請歴との矛盾がないこと
など
具体例を見てもわかるとおり、相当性は基本的に、在留資格の更新時や変更時に判断基準とされることが多いです。
入管法上でも在留資格認定証明書交付申請について規定された第7条の二には、相当性の文言がありません。
変更申請について規定された第20条第3項と更新申請について規定された第21条第3項には、「適当と認めるに足りる相当の理由がある時に限り」という記載があるのです。
ただし、在留資格認定証明書交付申請においても、例えば、経営・管理ビザの取得を考える場合、当該事業の安定継続性などをアピールすることはとても友好的ですし、就労ビザにおける受入先企業においてすでに外国人労働者が必要十分いるにもかかわらず、新たに外国人労働者を雇う必要性があるのかどうかという点が問われることもあります。
ちなみに、変更申請について規定された入管法第20条第3項には、「短期滞在の在留資格をもって在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」という記載があります。
これは「短期滞在」からの在留資格変更申請の許可を得るのは、非常に難しいことを意味しております。
在留カードについて
さて、在留資格の取得を許可されると、入管から在留カードが交付されます。
在留カードの見方は以下の通りです。
※出入国在留管理庁HPから抜粋
また、就労ビザの在留資格認定証明書交付申請の場合、申請人である外国人が所属している、あるいは、所属することになる機関が以下のどのカテゴリーに当てはまるかによっても、許可が下りる難易度が変わってきます。
● カテゴリー1
いわゆる一部上場の株式会社などです。
● カテゴリー2
カテゴリー1・4に当てはまらない機関のうち、前年度の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に記載された給与所得の源泉徴収額が1000万円以上
→目安としては、従業員が数十名以上・ある程度の規模の中小企業・上場していない大企業
● カテゴリー3
カテゴリー1・4に当てはまらない機関のうち、前年度の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に記載された給与所得の源泉徴収額が1000万円未満
● カテゴリー4
主に新設の機関
カテゴリー1や2の方が許可は下りやすく提出書類も少なくなります。
在留資格は、途中で変更することができる
在留資格は途中で変更することができます。
というよりも、その方のライフプランやライフステージに合わせて在留資格の変更をしていくことになります。
例えば、留学ビザを取得して留学生として来日された方が、卒業後にそのまま日本の会社で企画や経理として働きたい場合に、技術・人文知識・国際業務のビザ(技人国ビザ)を取得し、その後、就労経験を積んだ結果、独立して開業したいと考えた場合は、一般的には法人を設立し経営・管理ビザを取得することになります。そして、日本での居住年数が長期に達しこれからもずっと日本で生活していきたいと考えた際は、永住の許可をとることで、在留期間や就労に制限のなく日本で生活していくことが可能になるわけです。
また、単純に現在の在留資格で認められているものとは違う業種に転職したいといった場合も、在留資格の変更手続きをしなければ、在留不良にあたり、更新時に悪影響を及ぼしたり、悪質な場合は、在留資格の取消事由となり退去強制となります。
在留資格をもっていなければ犯罪になる可能性がある
出入国管理及び難民認定法(入管法)の70条は、各種の罰則について規定しております。
該当する場合は、「3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。」と定められております。
罰則についてはそれぞれ細かく規定されておりますが、在留資格にまつわる主な犯罪としては以下の通りです。
@ 不法入国
A 不法在留
B 不法残留
これらの事由によって、不法に日本に滞在していることを、不法滞在と呼ぶこともあります。
【不法入国】
不法入国とは、有効な旅券=パスポートを持たずに日本に入国することです。
例えば、パスポートの発行を受けていない場合、パスポートの有効期限が切れている場合、他人のパスポートを使った場合、偽造パスポートを使った場合などです。
似た言葉に、不法上陸があります。
不法上陸とは、入国審査を経ず、入国許可を与えられないまま日本に上陸することです。
上陸許可には、
● 一般的な上陸許可:パスポート・在留資格・入国目的・滞在予定期間などの各種要件を満たす場合に与えられる
● 特例上陸許可:寄港地上陸許可・乗員上陸許可・船舶観光上陸許可・通過上陸許可など
がありますが、いずれの上陸許可も与えられずに、上陸すれば、不法上陸となります。
【不法在留】
不法在留とは、不法入国した後、そのまま日本に在留していることを指します。
この後に解説する不法残留と似た言葉ですが、正確にいうと区別されております。
ポイントは、日本への入国が適法か違法かです。不法在留の場合、入国自体が違法なものになります。
【不法残留】
いわゆるオーバーステイのことを指します。
不法残留とは、有効な在留資格をもっていたものの、在留期間満了後も日本に在留してしまっている状態のことを指します。
ただし、以下の場合は不法残留とはなりません。
● 出国準備期間を付与されている
● 在留期間内に在留期間の更新および在留資格の変更申請をしたものの、それに対する結果通知などが在留期間内になかった
観光ビザなどで入国し、就労目的でそのまま日本に滞在しようとするケース、日本人の配偶者ビザで滞在していた方が離婚後在留資格の変更の手続きを行わずに滞在を続けているケースが多い印象です。
ここまでは、外国人自身による違法行為について解説してきましたが、そのような違法行為を手助けしてしまった者も刑に処される可能性があります。
それが、
@ 不法就労助長罪
A 営利目的入国幇助罪
という犯罪になります。
【不法就労助長罪】
不法就労助長罪とは、不法就労を手助けした場合、刑に処される犯罪行為です。
入管法73条の2に規定されており、該当する者は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処されるか、併科されます。
不法就労とは、以下のようなことを指します。
● 在留期間が切れている(オーバーステイ)のに日本に滞在し就労している。
● 在留資格を得ていないのに就労している。
● 許可された在留資格の範囲外の活動で働いている
● 資格外活動許可で許可された時間を超えて働いている
です。
ということで、主に外国人を雇う企業様が気を付けなければならないものになりますが、注意しなければならないのは、故意でなくとも過失があれば罪に問われる可能性があるということです。
なので、外国人を招聘する際は、しっかりと所定の手続きにのっとって行い、在留カードも慎重に確認するなどの作業が必要になってきます。
もし、不法就労助長罪に問われると、その後、5年間外国人の受け入れができなくなりますし、それ以降も、過去に不法就労助長罪に処された所属機関ということで、外国人の在留資格申請の際に、悪影響を及ぼす可能性がありますので、いわれのない罪にとわれないためにも十分な注意が必要になってきます。
【営利目的入国幇助罪】
入管法74条の6に規定されている違法行為です。
営利目的で違法に在留資格の認定や更新を手助けすると罪に問われます。
虚偽の内容で認定申請を行った場合などですね。
これは我々行政書士にとっても細心の注意を払わなければいけない事項です。
悪質なブローカーが跋扈して、そのような者の用意した書類通りに申請の代行だけを行政書士に依頼するなどというケースが後を絶ちませんが、当たり前のことではありますが、当事務所では、申請者ご本人様あるいは所属機関の企業様と直接やり取りをさせていただけない申請の取次に関しては、申請者の方や企業様をお守りするという立場から、お断りさせていただいております。
取消事由・退去強制・出国命令・在留特別許可
前の記事で、在留資格にまつわる犯罪について解説をしました。
入管法では、刑罰に処されるほどでなくても、在留資格を取り消し、本国に強制的に退去させることができる規定があります。
ここでは、以下の用語について解説をしていきます。
@ 在留資格の取消事由
A 退去強制と出国命令
B 在留資格が取消になっても事情によってそのまま日本に残れる場合がある
― 在留特別許可
在留資格の取消事由
在留資格の取消とは、不正な手段で在留資格を取得したり、在留資格取得後もそれに応じた活動を行っていない場合などに在留資格を取り消す制度です。
在留資格の取消事由は、入管法第22条の4に規定されております。
22条の4は、1号から10号までの事由が規定されておりますが、は以下の通り、3つに大別できると考えます。
@ 不法に入国した
A 在留資格に定められた活動を行っていない
B 住居地の届出義務違反
それぞれについて少し詳しく解説していきます。
不法に入国した
より具体的にみると、以下の通りです。
● 上陸拒否事由に該当するのに、それを隠したり偽ったりして入国した場合
● 在留資格の要件を満たさないのに、偽るなどして在留資格を取得した場合
● 文書の偽造したりや虚偽の書類を提出して在留資格を取得した場合
在留資格に定められた活動を行っていない
より具体的にみると以下の通りです。
● 正当な理由なく在留資格に定められた活動をしておらず、在留資格外の活動を行っているあるいは行おうとしている
● 正当な理由なく在留資格に定められた活動を3か月以上行っていない
● 正当な理由なく日本人や永住者の配偶者としての活動を6か月以上行っていない
よくあるケースとしては、日本人と離婚をしてそのまま6か月以上日本に在留している場合や資格外活動許可を得た留学生がアルバイトに注力しすぎて出席率が著しく低い状態で在留している場合などがあげられます。
ちなみに「正当な理由」とは以下のような場合が該当します。
● 就労ビザをもつ外国人が勤務先を退職後、再就職の活動を行っている
※程度の問題はあり
● 日本人や永住者の配偶者と離婚調停中
住居地の届出義務違反
より具体的にみると以下の通りです。
● 中長期の在留資格を新たに許可されたものが90日以内に住居地の届出を行わなかった場合
● 住居地が変更になった際に、90日以内に新しい住居地の届出を行わなかった場合
● 虚偽の住居地を届け出た場合
中長期の在留資格を許可されたものは、中長期在留者と呼ばれます。
中長期残留者とは、
・在留期間が3ヶ月超
・「短期滞在ビザ」「外交ビザ」「公用ビザ」の取得者ではない
・特別永住者ではない
・在留資格を有する
・その他法務省令で定める人
に該当する者のことを指します。
さて、取消事由のうち、不法入国や在留資格外活動を行った場合は、ただちに退去強制の対象になります。
退去強制については、この節の後に続く【退去強制と出国命令】をご参照ください。
退去強制事由に当たらない場合で在留資格を取り消された者に関しては、30日を限度とする出国のための期間が指定されます。
出国準備期間とよばれる期間です。
この出国準備期間内に自主的に日本国外へ出国した場合は、在留期間内に出国した場合と同様にペナルティーが課されません。
対して、退去強制や出国命令による出国の場合は、次回の上陸について、ペナルティーが課されることになります。
在留資格の取消の流れ
在留資格の取消を行うのは、法務大臣です。入管法上ではその手続きの規定もされております。
まずは、入国審査官が対象となる外国人から意見を聴取しなければなりません。
そのために、入国審査官は、意見聴取通知書を対象の外国人宛に送付することになります。
対象の外国人は、通知書に記載された期日に入管に出頭して、弁明をし、証拠を提出することができるというわけです。
ただし、対象となる外国人が正当な理由なく意見の聴取に応じないときは、法務大臣は意見聴取なしに在留資格を取り消すことができます。
退去強制・出国命令・在留特別許可・上陸拒否期間
退去強制とは、外国人を強制的に日本国外へ退去させる行政処分です。
「強制送還」や「国外退去処分」という言葉の方が聞きなれている方もいるかもしれませんね。
さて、退去強制事由は、入管法24条に規定されております。細かく事由が列挙されておりますが、概要は以下の通りです。
@ 不法入国・不法上陸
A 在留許可を取り消された
B オーバーステイ
C 他の外国人の不正を助けた・そそのかした
D 犯罪を犯した・関わった
E 出国命令を取り消されたあるいは期限を過ぎても日本に滞在している
F 難民認定を取り消された者
D犯罪を犯した・関わったには、資格外活動の禁止に違反することも含まれます。
さて、退去強制事由に該当すると疑われた外国人は、入国警備官による違反調査を受けることになります。
その後の手続きは、違反調査と入国審査官に引き継がれる違反審査と法務大臣による決裁の結果によって異なります。
以下、4つのパターンがあります。
@ 出国命令
A 退去強制
B 在留特別許可
C 放免
Aの場合は、収容施設に収容され強制的に国外退去となります。
Cの場合は、誤解・誤認であったわけですから、そのまま日本での滞在を継続することになります。
次に、@とBについて詳しく解説していきます。
出国命令
出国命令制度は、オーバーステイをした外国人が、自ら帰国を前提に入管に出頭して一定の条件を満たしていれば、退去強制とは異なり、収容をされないで出国させる制度です。
また、その後の入国に際しても、退去強制による出国と比べて緩和的な措置がとられます。
要件は入管法24条の3に規定されており、概要は以下の通りです。
● 速やかに出国することを希望して、自ら地方出入国在留管理局に出頭したこと
● 違反が不法残留のみであること
● 窃盗その他一定の罪により懲役刑等の判決を受けていないこと
● これまでに強制送還されたり、出国命令により出国したことがないこと
● 速やかに出国することが確実であること
(出入国在留管理庁HPより)
出国命令対象者になると、「出国命令処」が交付され、15日以内で出国期限が定められます。
加えて、住居や行動範囲の制限など出国までの間は必要な条件が課されることもあります。
また、出国期限を経過してもなお日本に残留しつづける者に関しては、退去強制および刑事罰の対象となります。
在留特別許可
在留特別許可とは、退去強制事由に該当するので本来であれば日本国外へ退去させなければならない外国人を、様々な事情を考慮して例外的に引き続き日本での滞在を認めるものです。
要件については、入管法50条に規定されております。以下の通りです。
● 永住許可を受けている
● 日本国籍を有していたことがある
● 人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に残留している
● その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情がある
ポイントとしては、これらの事由に該当する場合でも、あくまで法務大臣は在留を特別に許可することができると規定されておりますので、要件に該当しても在留特別許可が下りるわけではありません。
法務大臣の裁量次第です。
そのようなことを前提としたうえで、一般的に在留特別許可が下りやすいと考えられるケースがあります。
以下の通りです。
● 日本人との間に生まれた子供がいる。
● 対象の外国人が日本国籍の子の親である。
● 日本人と結婚をしている。
● 永住者・定住者の在留資格を持つ外交人と結婚している。
当然これらのケースにあてはまるからといて、在留特別許可が必ず下りるわけではありません。
上陸拒否期間
最後に上陸拒否期間について解説しておきます。
退去強制や出国命令によって出国した者は、一定期間日本に入国することができません。
ただし、先述した通り、退去強制と出国命令による出国では次回の入国の際のペナルティーが異なるという話をしました。
また、出国準備期間内に自主的に帰国したものはペナルティーが課されないという話もしました。
以下、まとめました。
● 過去に日本から退去強制された・出国命令を受けて出国したことが複数回ある:10年
● 退去強制されたことが過去1回のみ:5年
● 出国命令により出国:1年
● 退去強制事由に該当せず出国準備期間内に出向:0年
在留資格とVISAの違い
就労ビザや身分系ビザなど在留資格は、通称ビザと呼ばれることが多いですが、正確にいうと在留資格とビザは別個のものです。
在留資格(Resident status)とは、これまでも述べてきたように、外国籍の方が日本で生活をするために必要な資格のことで、出入国在留管理庁で許可を受けなければなりません。
ビザ(VisaあるいはVisa status)とは、日本に入国するための証書のことで、管轄は外務省です。
海外にある日本大使館や領事館が、その外国人が持つパスポートが有効で日本に入国しても差し支えないと判断した場合に発給します。
この意味でのビザは査証と呼ばれます。
査証の意味でのビザは、発給されるとパスポートに貼付されて、入国許可・上陸許可のために必要な書類の一部となります。
ビザの発給基準は、外務省のホームページで公開されております。
以下の通りです。
@ 申請人が有効な旅券を所持しており、本国への帰国又は在留国への再入国の権利・資格が確保されていること。
A 申請に係る提出書類が適正なものであること。
B 申請人が日本において行おうとする活動又は申請人の身分若しくは地位及び在留期間が、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以 下「入管法」という。)に定める在留資格及び在留期間に適合すること。
C 申請人が入管法第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと。
※入管法第5条第1項の各号に該当するものとは、例えば特定の感染症に罹患している者や過去に麻薬や覚せい剤で刑に処せられたことがある者、一定以上の刑罰に処せられたことがある者などのことです。