技能ビザとは
技能ビザは、「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」(※)を行うために必要なビザです。
※入管法別表第一より
技能ビザで代表的なものはなんといっても外国料理の調理師(コック・料理人)です。
他にも、スポーツのインストラクターや航空機のパイロットなどがあります。
ここでは代表的な外国料理の調理師として日本で働くための技能ビザ取得のためのポイントについて解説していきます。
技能ビザ取得のポイント
技能ビザを取得するためのポイントは以下の通りです。
@ 外国料理専門のお店であること
A 一定規模のお店であること
B 10年以上の実務経験があること
@ 外国料理専門のお店であること
技能ビザについて、基準省令では「外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者」とあります。
つまり、日本料理の店やラーメン屋、居酒屋、ファミレスなどで働く調理師としてでは、技能ビザは取得できません。
また、外国料理のお店で出すメニューとしては、外国料理の単品料理のほかに、コース料理もあることが必要となります。
つまり、外国料理専門のお店であり、日本人では作れないだろうと思われる料理を提供する外国人の調理師に許されるビザが技能ビザということなのです。
A 一定規模のお店であること
お店の規模は、座席数で立証します。
20-30席あれば、十分な規模といえるでしょう。
B 10年以上の実務経験があること
技能ビザの一番の難点です。
技能ビザは学歴ではなく職歴を基準に審査されるビザです。
実務経験については、在職証明書などで立証していきますが、在職証明書の偽造が多いので、出入国在留管理局は、この点についてお店が本当に実在するのかまで詳細に調査をします。
実際にそのお店に電話をかけて、申請人が働いていたのかを確認するということもあり、実際にしっかりとした職務経歴がある場合でも、審査官側からお店に電話がかかってきた時に、調査の意図が読み取れず頓珍漢な応対をした結果、不許可になったという話も聞きますので、在職していたお店側とも調整をしておく必要があります。
また、外国人の調理師を招聘しようとする日本企業の方としても、人材紹介会社からの紹介やテレビ電話で面接したという場合、提示された在職証明が偽造の場合もありますので、採用には細心の注意を図る必要があります。
ちなみに、タイ料理の調理師に限っては、実務経験5年以上で要件を満たします。
コラム 実務経験年数の数え方
技能ビザに関する質問で非常に多いのが、実務経験年数の数え方についてです。
実務経験年数は、在職証明書などの書類で立証していきますが、
基準省令では「外国の教育機関において当該料理の調理または食品の製造にかかる科目を専攻した期間を含む」となっておりますので、料理を専門的に勉強していた学生の期間も実務経験年数にカウントすることができます。
実務経験年数は、少しでも不足していると要件をクリアできませんので、正確に10年以上あることが必須となります。
技能ビザの必要書類
基本的な必要書類は以下の通りです。
【基本書類】
@ 在留資格認定証明書交付申請書
※在留資格変更許可申請の場合は、在留資格変更許可申請書
A 外国人本人の証明写真(4cm×3cm)
B 返信用封筒(宛先明記、404円切手貼付)
【本人に関する書類】
@ パスポートのコピー
A 卒業証明書(原本)
B 成績証明書
C 履歴書(学歴・職歴)
D 在職証明書等実務経験を証する書面
E 推薦状
F 日本語能力を証明する書類(日本語能力試験合格証明書など)
G 資格合格証のコピー
【会社が準備する書類】
@ 登記事項証明書
A 定款のコピー
B 会社案内やHPページ(沿革・役員・業務内容・主な取引先・取引実績)
C 直近年度の貸借対照表と損益計算書のコピー
D 源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印や受付番号(電子申請)があるもの)
E 申請理由書(外国人本人の経歴と職務内容との関連性・事業の継続性・海外での事業内容など)
F 雇用契約書
G 飲食店営業許可証のコピー
H 店舗の平面図
I 店舗の写真(外観・看板・入口・店内・厨房など)
J 店舗の賃貸借契約書あるいは登記事項証明書
K メニューのコピー
※ カテゴリー1の会社の場合、@-Fの書類は免除でき、四季報の写しや日本の証券取引所に上場していることを証明する文書で足りる。
※ カテゴリー2の場合、D以外の書類は免除可能
※ カテゴリー4の場合、
・事業計画書
・直近3ヶ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるもの)
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(受付印のあるもの)
・開設届のコピー
・建物賃貸借契約書(テナントの場合)
・登記事項証明書(不動産所有の場合)
・会社の写真(外観・入口・店舗内部) ※デスク・PC・電話・キャビネットなど設置済
などが追加で必要になります。
カテゴリーの簡単な分類は以下の通りです。
● カテゴリー1
いわゆる一部上場の株式会社などです。
● カテゴリー2
カテゴリー1・4に当てはまらない機関のうち、前年度の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に記載された給与所得の源泉徴収額が1000万円以上
→目安としては、従業員が数十名以上・ある程度の規模の中小企業・上場していない大企業
● カテゴリー3
カテゴリー1・4に当てはまらない機関のうち、前年度の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に記載された給与所得の源泉徴収額が1000万円未満
● カテゴリー4
主に新設の機関