「日本人の配偶者等」ビザとは
「日本人の配偶者等」ビザとは、
● 日本人の配偶者
● 日本人の特別養子
● 日本人の子として出生した方
を受け入れるための在留資格です。
日本人の配偶者とは、日本人と法的に有効な婚姻をしているものです。
日本人の特別養子とは、普通養子では認められません。また海外の法制度による養子でも認められません。
日本人の子として出生した者とは、日本人の実施、日本人の婚外子、日本人に認知された子などが該当します。
「日本人の配偶者等」ビザの特徴
「日本人の配偶者等」ビザの特徴は以下の通りです。
● 就労制限がない
● 永住者へのハードルが低い
● 他の身分系ビザより保護されやすい
【就労制限がない】
『在留資格(VISA)とは』の記事でも解説したように、身分系のビザは就労系ビザや資格外活動許可による活動と比べ、就労制限がありません。どのような職種で働くかも自由ですし、それが単純労働かどうかも関係がありません。
【永住者へのハードルが低い】
永住者ビザは在留期間に制限がないので、多くの外国籍の方が目指す在留資格でもあります。
その永住者ビザを取得するための要件の一つに通常10年の居住要件がありますが、たとえば日本人の配偶者等ビザを所持する日本人の配偶者であれば、婚姻期間3年に加えて日本に継続して1年間在留していれば、居住要件をクリアすることができます。
【他の身分系ビザより保護されやすい】
『在留資格(VISA)』とは何かという記事の「取消事由・退去強制・出国命令・在留特別許可」というセクションの中で、犯罪を犯すなどすると退去強制事由に該当するが、特別な事情が法務大臣に認められると、在留特別許可を得て引き続き日本に残留することができるというお話をしました。
「定住者」や「永住者の配偶者等」といった他の身分系ビザと比べると、日本人の配偶者の場合、配偶者である日本人の保護の観点から在留を認められることがあります。
日本人の配偶者
日本人の配偶者とは、日本人と法的に有効な結婚をしている外国人の方を指します。
つまり、日本人配偶者の戸籍謄本に婚姻事実が記載されていることがまずは最低条件となります。
ということで、以下のような方は該当いたしません。
● 相手方の配偶者が死亡した方
● 相手方の配偶者と離婚した方
● 内縁の配偶者
● 同性婚
どんなに長く婚姻関係にあったとしても、相手方の配偶者が死亡していたり、相手方の配偶者と離婚した場合は、日本人の配偶者等は付与されませんし、現に日本人の配偶者等ビザを所持していたとしても、更新が認められることはありません。
また、どんなに長く一緒に暮らして子供がいても、内縁のままであれば日本人の配偶者等ビザは付与されません。
そして、同性婚のように、外国の法律で婚姻が成立していても、日本の法律上有効な婚姻と認められない場合は、日本人の配偶者等は付与されません。
日本人の配偶者ビザは、日本人と法的に有効な結婚をしていれば取得できると思われがちですが、その結婚に実態が伴っていないとならず、その実態をしっかりと立証していかなければなりません。
というのも、法的に有効な結婚さえしていれば、在留資格が取得でき、それだけで就労制限がないなどの恩恵を受けられるとなれば、偽装結婚をしてこのビザを取得しようとする人であふれかえることが目に見えているからです。
入管の方もそれをよく理解していますから、申請者の婚姻関係に本当に実態が伴っているのか注意深く審査することになるというわけです。
具体的に言うと、以下の点にあてはまると注意が必要です。
□ 出会い・交際・結婚に至る経緯が不自然
□ 結婚に至るまでの交流が不十分
□ 結婚と離婚を繰り返している
□ 年の差が大きい
□ 外国人に就労予定がなく、日本人の配偶者の収入が少ない(世帯収入が少ない)
□ 夫婦間で言語的にコミュニケーションが取れそうもない
□ 日本人の配偶者に税の滞納がある
□ 同居するか疑わしい
□ 外国人に違反歴がある
日本人の特別養子
養子とは、一定の手続きをへて法律上の親子関係を持つことで、迎え入れられた子どものことです。
養子縁組とは、赤の他人同士が法律上の親子関係を持つための手続きのことです。
養子縁組には、普通養子と特別養子の2種類があります。
普通養子は、実の親との関係を保ったまま、養親と養子縁組をすることです。
特別養子は、実の親子関係を断って、養親と新たな親子関係をつくります。
日本人の特別養子とあるように、日本人の配偶者等ビザでは、普通養子は認められません。
特別養子は、家庭裁判所の審判によって成立します。
上記のように、実の親子関係を消滅させる手続きですので、以下の通り、成立条件も厳しいものとなります。
@ 養親となる人には配偶者がいなければならない
A 養親の年齢は25歳以上でなければならない。
※一方の養親が25歳以上であれば、もう一方の養親は20歳以上であればよい。
B 養子の年齢は15歳未満でなければならない
※裁判所への申立て時点で15歳未満であればよいが、成立までに18歳未満である必要がある。
※15歳に達する前から養親に監護されており、やむを得ず申立てをできなかった場合は18歳未満まで。その場合は、養子の同意が必要。
C 実親の同意が必要
※虐待や育児放棄がある場合などは不要
D 子供の利益のために養子にすることが必要である。
E 6か月以上の監護期間を経る必要がある。
また、養子縁組の当事者に外国人がいる場合は、日本法律上、認められるとしても、外国の法律との兼ね合いも必要になってきます。
日本人の実子
日本人の子として出生した者とは、親同士が婚姻関係にある必要はなく、親に認知されていれば要件を満たします。
例えば、仕事で海外赴任中に外国人の子どもを出産したまま日本国籍を取得しないままだったが、帰国などに際して、日本に子どもを呼び寄せたいというパターンがあります。
注意点としては、その子供が生まれた時に、親のどちらかが日本人でなければならず、子供の出生前に父が死亡した時は、その父が死亡した時点で日本人でなければなりません。
ということは、子供の出生後に親が日本国籍を離脱しても該当することになりますが、本人の出生前に親がどちらも日本人でなければ、いくら親が元日本人であったとしてもその子供はここでいう日本人の実子には、該当しないということになります。